OKUBO STAMP MUSEUM

戦後の記念切手コレクションを紹介するブログです

第1次国立公園の体系的収集

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郵趣モノグラフとして、神宝浩さんの『第1次国立公園の体系的収集』が出版されました。
著者より贈呈いただきましたので、遅くなりましたが書評的にご紹介します。
(実は予約購入もしましたので手元には2冊あります!)
第1章シリーズ概観、第2章製造面をみる 第3章発行面をみる 第4章使用面をみる
ということで、4章構成になっています。
見どころはまず製造面のページ。
これは神宝さんの研究の賜物だと思いますが、シート構成、目打ち、定常変種などについて
普通シートと小型シートに分けて、詳細に記述されています。
他のどこにも書いてない情報が多々あり、公園切手を集めるならば知らないわけにいかない内容になっています。
ユニークなのは第3章として「発行面」という考え方を持ち込んだことでしょう。
普通切手にはない側面です。伝統郵趣では、製造面と使用面の両面から作品をつくりますが、
記念特殊切手では製造面のバラエティが少ないために、バランスが悪くなってしまいます。
一方でそれぞれの切手に発行意図があるので、これに注目することで深みが出てくるのです。
発売局、関連イベント、風景印、小型印などをこれにあてていますが、
記念切手であれば、ゆかりの地域(ご当地)、ゆかりの人物や機関(差出人・受取人)、
関連する封筒やはがき、特印や小型印、関連するパンフレットなどの資料(伝統郵趣には使えませんが)、などがこれにあたるのでしょう。
とても重要な問題提起だと思いますので、今後議論が深まることを期待したいと思います。
そして第4章の使用面は、ただただその迫力ある希少カバーの数々に圧倒されます。
公園切手を長年専門収集してきた実績があるからこそ書ける素晴らしい本だと思います。